
美容室でシャンプーをしてもらったとき。
家族に頭をなでてもらったとき。
そして、ヘッドマッサージを受けているとき。
頭をゆっくり触られていると、思わず目を閉じたくなったり、身体の力がふっと抜けたりした経験はありませんか?
「頭を触られるのが気持ちいい」という感覚は、とても身近なものです。
実は近年、人に触れられる「タッチ」が心身にどのような影響を与えるのかについて、科学的な研究も進んでいます。
そして大規模な研究では、身体の中でも「頭部へのタッチ」について興味深い結果が報告されています。
212件・約13,000人を分析した「タッチ」の研究
2024年、ドイツのRuhr University Bochum(ルール大学ボーフム)やUniversity Hospital Essen(エッセン大学病院)などの研究チームは、タッチ介入に関する大規模なメタ分析を『Nature Human Behaviour』に発表しました。
対象となったのは、212件の研究・12,966人。
マッサージをはじめとするさまざまなタッチ介入について、身体的・心理的な健康との関係を統合して分析した研究です。
その結果、成人ではタッチ介入によって、不安、抑うつ、痛みなど複数のアウトカムで改善がみられました。
もちろん、「触れれば何でも改善する」という意味ではありません。
タッチの方法や対象者、研究条件などには大きな違いがあります。
それでも、これほど多くの研究をまとめた結果から、人に触れられるという行為そのものが、単なる感覚以上の意味を持つ可能性が示されています。
興味深いのは「どこを触るか」
さらにLa HEADとして興味深いのが、身体のどの部分に触れるかを分析した結果です。
成人では、腕や体幹へのタッチと比較して、頭部へのタッチを含む介入の方が、健康アウトカムへの効果が大きい傾向がみられました。
研究者らも、顔や頭皮へのマッサージが特に有益である可能性について言及しています。
なぜ頭部へのタッチでこのような違いがみられたのかについては、まだ明確に解明されていません。
そのため、
「頭を触れば、ほかの場所より必ずリラックスできる」
と断定することはできません。
しかし、私たちが日常的に感じている「頭を触られると気持ちいい」という感覚を考えるうえで、非常に興味深い研究結果といえるでしょう。
「触られた場所」だけを感じているわけではない
では、人に優しく触れられたとき、私たちの身体では何が起きているのでしょうか。
皮膚には、圧力や振動、温度など、さまざまな刺激を感知する仕組みがあります。
そして近年のタッチ研究では、触覚には、
「どこを触られたのか」を認識する側面
だけでなく、
「心地いい」「安心する」といった感情的な側面
もあることが分かってきています。
特に、ゆっくりとした優しいタッチに反応する神経線維として知られているのが、C-tactile(CT)求心性神経です。
こうした心地よいタッチの情報は、感情や身体感覚に関係する島皮質(Insula)などの脳領域との関連が研究されています。
つまり、人に頭を触れられたときに感じる心地よさは、
「頭皮を押されている」
という物理的な刺激だけで説明できるものではなく、タッチを脳がどのように受け取っているのかも関係している可能性があります。
自分で触るのと、人に触られるのは同じ?
ここでもう一つ興味深いのが、
「それなら、自分で頭をマッサージしても同じなのでは?」
という疑問です。
自分で頭皮を触ることにも、もちろん心地よさはあります。
しかし私たちの脳は、自分自身が起こした動きをある程度予測しています。
一方、人から触れられる場合は、刺激のタイミングや強さ、動きを完全には自分で予測できません。
そのため、自分で触れる場合と、人から触れられる場合では、脳による触覚情報の処理が異なることが知られています。
「自分で頭を揉むのも気持ちいいけれど、人にやってもらうと何か違う」
と感じる背景には、こうした脳の仕組みも関係しているのかもしれません。
「気持ちいい」には、さまざまな理由がある
ヘッドマッサージの心地よさというと、
「頭皮がほぐれるから」
という説明だけになりがちです。
しかし現在の研究を見ると、もう少し複雑です。
頭皮への圧や動き。
皮膚から伝わる触覚。
人から触れられるという感覚。
刺激を受け取る脳の反応。
そして、静かな環境や安心して身体を預けられる状況。
こうしたさまざまな要素が重なって、私たちが感じる「心地いい」が生まれていると考える方が自然でしょう。
La HEADでは、完全個室の落ち着いた空間で、頭だけでなく首・肩・腕までを一体として丁寧にケアしています。
パソコンやスマートフォンから離れ、目を閉じ、自分で何かをするのではなく、施術者に身体を委ねる。
普段はあまり意識することのない「人に触れられる心地よさ」そのものも、ドライヘッドスパの魅力の一つなのかもしれません。
「なぜか気持ちいい」と感じていた頭へのタッチ。
その感覚の背景を科学から見てみると、ヘッドマッサージの時間が少し違って感じられるのではないでしょうか。


