
お気に入りの曲を聴いているとき。
大好きなサビに入った瞬間。
予想していなかった転調や、美しい歌声を聴いた瞬間に、
「ゾクッと鳥肌が立った」
そんな経験はありませんか?
寒いわけでもない。
怖いものを見たわけでもない。
それなのに、音楽を聴いただけで身体が勝手に反応する。
実は、音楽によって生じる強い感動や鳥肌については科学的な研究が行われており、「フリッソン(frisson)」や「musical chills」などと呼ばれています。
今回は、心で感じた「感動」が、なぜ鳥肌という身体の反応として現れるのかを見ていきましょう。
そもそも鳥肌はどうやって起こる?
私たちの皮膚には、毛根の近くに立毛筋という小さな筋肉があります。
寒さなどの刺激によって立毛筋が収縮すると毛が立ち、毛穴の周囲が盛り上がります。
これが、いわゆる鳥肌です。
この反応には自律神経が関係しています。
人間では体毛が少ないため体温を守る効果は限定的ですが、毛の多い動物では、毛を立たせることで空気の層をつくり、寒さから身体を守ることにつながります。
ところが不思議なことに、人間の鳥肌は寒いときだけではありません。
恐怖。
驚き。
感動。
そして、音楽。
身体に直接何かが起こっていなくても、強い感情によって鳥肌が現れることがあります。
音楽でゾクッとする「フリッソン」とは?
好きな音楽を聴いて、
背中をゾクッと何かが走る。
腕に鳥肌が立つ。
胸がいっぱいになる。
こうした音楽による強い快感反応は「フリッソン」と呼ばれることがあります。
フランス語で「震え」や「身震い」を意味する言葉です。
興味深いのは、すべての曲で起こるわけではないこと。
突然音量が変化する。
新しい楽器が加わる。
予想外のハーモニーが現れる。
待っていたサビに入る。
好きな歌声が聞こえる。
こうした音楽の変化や盛り上がりが、強い感情反応につながることがあります。
さらに、同じ曲を聴いても鳥肌が立つ人もいれば、ほとんど感じない人もいます。
音楽による感動には、その人の経験や好みなども関係するためです。
「好きな曲」を聴くと脳では何が起こる?
音楽による鳥肌については、脳科学の研究も行われています。
カナダのMcGill Universityなどの研究グループは、好きな音楽を聴いて強い快感を感じる際に、脳の報酬系に関係するドーパミンが関与することを報告しています。
ドーパミンというと「快楽物質」と表現されることがありますが、実際にはそれだけではなく、報酬や動機づけ、学習、期待などに関係する神経伝達物質です。
食べ物など直接的な生存に関係する報酬だけでなく、
「音の組み合わせ」
という抽象的な刺激でも、私たちの脳の報酬系が反応する。
これは音楽と人間の脳を考えるうえで、とても興味深いところです。
鳥肌が立つ「前」から脳は楽しんでいる?
さらに面白いのが、音楽で最も感動するその瞬間だけが重要ではないことです。
お気に入りの曲なら、
「もうすぐサビが来る」
「あの歌声が入る」
「あの音が来る」
と分かっていることがありますよね。
研究では、音楽による強い快感を感じる際、ピークの瞬間だけでなく、その直前の期待している段階にも報酬系が関係していることが示されています。
つまり私たちは、
音楽を聴く
↓
次の展開を予測する
↓
「そろそろ来る」と期待する
↓
期待していた音楽が訪れる
↓
強い快感や鳥肌につながる
という体験をしている可能性があります。
だからこそ、一度聴いた曲なのに何度聴いても感動することがあります。
むしろ曲を知っているからこそ、「次に来るものを待つ楽しさ」が生まれているのかもしれません。
心が動くと、身体も動く
音楽を聴いているだけなのに、
鳥肌が立つ。
心拍が変わる。
涙が出る。
胸がいっぱいになる。
私たちが「感動」と呼んでいるものは、頭の中だけで完結しているわけではありません。
感情と身体は互いに切り離されたものではなく、心が大きく動いたときには身体にもさまざまな反応が現れます。
La HEADでも、施術そのものだけではなく、完全個室の空間、照明、香り、音など、五感から心地よく過ごしていただける環境を大切にしています。
人は、触れられる感覚だけでリラックスするわけではありません。
心地よい香り。
落ち着いた光。
静かな空間。
そして耳から入ってくる音。
普段何気なく受け取っている刺激も、私たちの気分や身体感覚と深く関わっています。
次にお気に入りの音楽を聴いて鳥肌が立ったら、すぐ次の曲へ飛ばさず、その瞬間を少し味わってみてください。
「心が動いたことを、身体が教えてくれている。」
そう考えると、いつもの音楽も少し違って聞こえてくるかもしれません。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。


