
熱中症対策というと、「こまめな水分補給」や「エアコンの使用」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろん、これらは熱中症を防ぐために欠かせない対策です。
しかし、熱中症になりにくい身体をつくるという視点では、「運動習慣」も非常に重要です。
実は、筋肉は体内で最も多くの水分を保持している組織であり、さらに運動を続けることで暑さに強い身体へと適応していきます。
今回は、研究データをもとに、運動が熱中症予防につながる理由をご紹介します。
筋肉は体内の「水分の貯蔵庫」
人の身体の約60%は水分でできています。
その中でも、骨格筋の約75%は水分で構成されており、筋肉は体内で最も多くの水分を保持している組織です。
そのため、筋肉量が少ない人ほど体内に蓄えられる水分量も少なくなります。
実際に、米国医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)では、筋肉量の低下に伴って体内総水分量も減少し、特に高齢者では脱水リスクが高まることが報告されています。
つまり、筋肉量を維持することは、体内の水分を維持することにもつながります。
運動すると「暑さに強い身体」になる
運動のメリットは筋肉量だけではありません。
アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine:ACSM)によると、暑い環境で適度な運動を継続すると、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」という身体の適応が起こります。
暑熱順化が進むと、
・汗をかき始めるまでの時間が短くなる
・汗の量が増え、体温を下げやすくなる
・汗に含まれるナトリウムが少なくなり、電解質を失いにくくなる
・心臓への負担が軽減される
など、体温を効率よく調節できる身体へと変化します。
その結果、熱中症のリスクを低減できることが数多くの研究で確認されています。
環境省も暑熱順化を推奨
環境省や公益財団法人 日本スポーツ協会でも、暑くなる前から身体を暑さに慣らすことを推奨しています。
具体的には、
・ウォーキング
・軽いジョギング
・サイクリング
・軽い筋力トレーニング
などを20〜30分程度、継続的に行うことがすすめられています。
暑熱順化は一般的に数日から2週間ほどで進むとされているため、本格的な夏を迎える前から運動習慣をつくることが大切です。
水分補給だけでは十分ではない
熱中症予防というと、「何を飲むか」に注目しがちです。
もちろん、水分補給は重要ですが、それだけでは身体そのものの暑さへの耐性は高まりません。
日頃から適度な運動を続け、
・筋肉量を維持すること
・暑熱順化を促すこと
この2つを意識することで、暑さに負けにくい身体づくりにつながります。
まとめ
熱中症対策は、水分補給だけではありません。
運動を続けることで、
・筋肉量を維持し、体内の水分を保持しやすくなる
・暑熱順化によって体温調節機能が向上する
という2つのメリットが期待できます。
これから暑さが本格化する季節です。
水分補給に加えて、無理のない範囲で運動習慣も取り入れ、熱中症に負けない身体づくりを目指してみてはいかがでしょうか。


