脳の疲れを測るヘッドホン?「Brain Battery」とは

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スマートウォッチで心拍数や睡眠時間を測ることは、すっかり身近になりました。

では次に、

「脳のコンディション」

まで日常的に測るようになるのでしょうか。

2026年10月1日、アメリカのニューロテクノロジー企業Neurable(ニューラブル)が、新しいヘッドホン「Neurable One」を発表しました。

見た目は一般的なノイズキャンセリングヘッドホンですが、イヤーパッド内部には12個のEEGセンサーが組み込まれています。

そして、この製品の中でも特に興味深い機能が、

「Brain Battery」

です。

スマートフォンのバッテリー残量のように、「今、自分の頭にどれくらい余力が残っているのか」を脳波データから推定するという仕組みです。

ヘッドホンで「脳波」を測る

EEGとは、

Electroencephalography(脳波測定)

のこと。

脳の神経細胞が活動するときに生じる微弱な電気信号を、頭皮などに置いた電極から測定します。

病院や研究施設で脳波を測る場合は、頭全体に複数の電極を装着する大掛かりな装置をイメージする方も多いと思います。

Neurableが目指しているのは、それを普段使うヘッドホンの中に組み込むこと。

Neurable Oneでは、イヤーパッドの布部分に12個のドライEEGセンサーが組み込まれており、ヘッドホンを装着している間に脳の電気活動を記録します。

音楽を聴いたり仕事をしたりしながら、同時に脳波を測る。

これまで研究室で行われていた測定を、日常生活へ持ち出そうとしているわけです。

「Brain Battery」は何を測っている?

Neurable Oneのアプリでは、脳波から複数の指標を算出します。

そのひとつがBrain Battery。

メーカーは、

集中状態
認知的な負荷
疲労に関連する信号パターン

などをもとに、「今どの程度の認知的な余力が残っているか」を推定する指標として説明しています。

集中して仕事を続けているとBrain Batteryが低下し、脳波のパターンから疲労が推定されると、アプリが休憩を提案する仕組みです。

ほかにもNeurable Oneでは、

Focus
Sleepiness
Stress
Brain Age
Alpha Peak Frequency

など、計8種類の脳関連指標を表示します。

まさに、

「スマートウォッチの脳版」

のような発想です。

本当にヘッドホンだけで集中力を測れる?

そこで気になるのが、

「本当に耳の周りだけで脳波を測れるの?」

という点です。

Neurableは以前、「Enten」というEEGヘッドホンを使って研究を行っています。

この実験では、

132人
337セッション
45種類の実験

から脳波データを収集しました。

研究では、集中している状態と注意がそれた状態を作り、脳波の変化を独自の機械学習アルゴリズムで解析しました。

その結果、実験中に意図的に起こした「気が散った場面」を、アルゴリズムが約80%(80±4.1%)検出したと報告されています。

また、目を閉じたときのα波や、特定の刺激に反応して現れるP300など、一般的なEEGで知られている脳波反応も測定できたとしています。

つまり、

「耳の周囲から取得したEEGでも、集中状態に関連する脳活動をある程度捉えられる」

という可能性は示されています。

ただし「脳の疲労そのもの」を測っているわけではない

ここは特に重要です。

Brain Batteryという名前を見ると、

「脳に疲労物質がどれくらい溜まっているか測っている」

ように感じるかもしれません。

しかし、そうではありません。

EEGは脳表面の電気活動を測っています。

そこから、

注意
集中
眠気
認知的な負荷

などと関連する脳波パターンをAIで解析し、「Brain Battery」という分かりやすい指標へ変換しています。

Neurable自身も、EEGについて、

思考の内容や言葉、画像、気分そのものを読み取っているわけではない

と明記しています。

さらに、Neurable Oneは医療機器ではありません。

病気の診断や治療、医学的な疲労度の測定を目的としたものではなく、あくまで一般向けのウェルネス製品です。

また、先ほどの132人を対象とした集中力研究はNeurableの研究者によるもので、bioRxivに公開されたプレプリントです。

そのため、

「Brain Batteryの精度が医学的に確立した」

とまでは言えません。

特に2026年に発売されたNeurable OneそのものとBrain Batteryについて、独立した大規模研究が十分に積み重なっているわけではない点には注意が必要です。

これから「脳のコンディション」も測る時代へ?

それでも、この技術はとても興味深いものです。

今までは、

「なんとなく集中できない」

「今日は頭が疲れている」

と感覚で判断していました。

それが今後、

「集中力が落ち始めたので休憩する」

「午前中は集中しやすいが、午後3時頃からBrain Batteryが落ちる」

といった形で、自分自身の認知パターンをデータから振り返れるようになるかもしれません。

Neurable Oneでは、1回の測定だけではなく、数週間・数か月にわたってデータを蓄積し、自分自身の変化を見ることも想定されています。

これは睡眠計測の歴史にも少し似ています。

以前は「よく眠れた気がする」という感覚だけだったものが、現在ではスマートウォッチによって睡眠時間や心拍、生活リズムを振り返る人が増えました。

同じようにこれからは、

「頭が疲れた気がする」から、「脳波の変化を見ながら休む」へ。

そんな時代が少しずつ近づいているのかもしれません。

ただし、データを追いかけすぎる必要もありません。

どれだけ高度なデバイスが登場しても、

集中できない
眠い
頭が重い
休みたい

という自分自身の感覚も、大切なサインです。

La HEADでは、頭だけではなく首や肩まで丁寧に施術し、完全個室の静かな環境で、情報から離れて休める時間を大切にしています。

テクノロジーで「休むタイミング」を知る時代になっても、

実際に頭と身体を休ませる時間をつくること。

そこは、これからも変わらないのかもしれません。

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