
文章を書く。
企画のアイデアを出す。
情報を整理する。
分からないことを調べる。
生成AIを仕事で使うことが、特別ではなくなってきました。
質問を入力すれば数秒で答えが返ってくるため、仕事の効率を大きく高められる場面もあります。
一方で、
「AIに考えてもらうことが増えると、自分で考える機会が減るのでは?」
という疑問もあります。
近年の研究で注目されているのは、単純に「AIを使うか、使わないか」ではなく、「AIに何を任せるか」という視点です。
AIを信頼するほど「考える努力」が減る?
2025年、Microsoft Researchとカーネギーメロン大学の研究チームは、仕事で生成AIを利用している319人のナレッジワーカーを対象に、生成AIと批判的思考の関係を調査しました。
研究では、実際に生成AIを使用した仕事上の事例について、どの程度批判的思考を行ったのかなどを分析しています。
その結果、AIの能力に対する信頼が高いほど、批判的思考に費やす努力が少ない傾向がみられました。
反対に、自分自身の能力への自信が高い人ほど、より批判的思考を行う傾向が確認されています。
ただし、この研究から、
「AIを使うと考える力そのものが低下する」
と断定することはできません。
重要なのは、AIを使うことで人間がまったく考えなくなるというより、人間が行う「思考の内容」が変化する可能性があることです。
AI時代は「考える」から「評価する」へ?
生成AIがなかった頃は、文章を書くなら最初の一文から自分で考える必要がありました。
しかしAIを使えば、数秒でたたき台をつくれます。
その結果、人間の仕事は、
ゼロから文章をつくる
↓
AIがつくった文章を確認する
という形に変わります。
企画でも同じです。
自分で10個のアイデアを考える代わりにAIへ案を出してもらい、
「これは使える」
「これは現実的ではない」
「ここは間違っている」
「この視点が足りない」
と評価する。
つまりAIによって思考が不要になるというより、「生成する」作業から「確認・評価・選択・修正する」作業へ、人間の役割が移っているとも考えられます。
だからこそ、AIの回答をそのまま採用するのか、それとも材料として利用するのかで、頭の使い方も変わってきます。
「AIに任せる」こと自体が悪いわけではない
人間が頭の中で行っていた作業を、道具や外部環境へ任せることは「Cognitive Offloading(認知的オフローディング)」と呼ばれます。
たとえば、
予定を記憶せずカレンダーに登録する。
計算を電卓に任せる。
目的地までの道順をナビに任せる。
これらも認知的オフローディングです。
生成AIも、その新しい形と考えることができます。
2026年には、生成AIへの認知的な任せ方について、AIへ依存的に思考を委ねる使い方と、自分の思考を維持しながら補助として利用する使い方を区別して考える研究も登場しています。
つまり問題は、
「AIに任せること」そのものではなく、「何を任せ、何を自分で考えるか」
なのです。
④ 「答えを聞く」から「問い返してもらう」へ
では、仕事ではAIをどのように使えばよいのでしょうか。
たとえば、新しい企画を考えるとします。
最初から、
「新しい企画を考えて」
とすべて任せる方法もあります。
しかし、
「私はAとBという案を考えている。それぞれの弱点は?」
「この企画に反対する立場なら、どこを問題視する?」
「自分が見落としている視点を挙げて」
「この結論とは反対の立場から考えて」
と質問すれば、AIの役割は変わります。
答えを代わりにつくる存在ではなく、自分の思考を広げるための相手になるからです。
特に経営判断や企画、文章作成など、唯一の正解がない仕事では、この使い方は一つの選択肢になるでしょう。
もちろん、AIの回答には誤りが含まれる可能性があります。
最終的に、
「本当に正しいのか」
「自分はどう考えるのか」
「どれを採用するのか」
を判断するのは、人間側です。
⑤ AI時代だからこそ「自分で考える時間」を
生成AIは、これからさらに便利になっていくでしょう。
だからといって、AIを使わずすべて自分で行うことが最善とも限りません。
要約、整理、たたき台の作成などをAIへ任せることで、より重要な判断や創造的な仕事へ時間を使える可能性があります。
大切なのは、
「AIを使ったか」ではなく、「AIを使ったあと、自分は何を考えたか」。
La HEADでは、完全個室の落ち着いた空間でパソコンやスマートフォンから離れ、目を閉じて、頭だけでなく首・肩・腕までゆっくりとケアしています。
AIによって仕事のスピードが上がり、これまで以上に多くの情報を処理できるようになった今だからこそ、意識的に画面から離れる時間も大切です。
AIに「考えてもらう」のではなく、AIを使って「自分の考えを深める」。
生成AIとの付き合い方を考えるうえで、一つの大切な視点になっていくのかもしれません。

