睡眠スコアを気にしすぎると逆に眠れない?「オルソソムニア」と睡眠データの付き合い方

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「睡眠時間は7時間12分」

「深い睡眠が少なかった」

「今日の睡眠スコアは72点」

Apple Watchをはじめとしたスマートウォッチやスマートリングの普及によって、これまで感覚でしか分からなかった「睡眠」が、毎朝数字で確認できるようになりました。

生活習慣を振り返るうえでは、とても便利な機能です。

一方で、

「昨日よりスコアが悪い」
「もっと深い睡眠を増やさなければ」
「今夜は絶対に8時間眠らないと」

と、いつの間にか睡眠の数字そのものが気になってしまうことはないでしょうか。

実は睡眠医学では、こうした睡眠データへの過度なこだわりに関連して、「Orthosomnia(オルソソムニア)」という言葉が使われるようになっています。

「オルソソムニア」とは?

オルソソムニアは、2017年に『Journal of Clinical Sleep Medicine』で報告された概念です。

「正しい・適切な」という意味を持つ“ortho”と、“sleep”を組み合わせた言葉で、ウェアラブル端末で測定された睡眠データをもとに、より完璧な睡眠を求めすぎる状態を表しています。

もともとは睡眠を改善するために使い始めたデバイスなのに、

「数字を良くしなければ」

という気持ちが強くなり、かえって睡眠への不安やこだわりにつながってしまう。

そんな少し逆説的な現象です。

なお、オルソソムニアは現在、正式な医学的診断名として確立されているものではありません。

「よく眠れた」と思ったのに、数字を見たら不安に

たとえば朝起きたとき、

「今日はぐっすり眠れた」

と感じていたとします。

ところがスマートウォッチを見ると、

睡眠スコア62点。
深い睡眠が少ない。
途中で何度も覚醒している。

すると、それまで調子が良いと感じていたのに、

「実はちゃんと眠れていなかったのでは?」

と不安になることがあります。

さらに夜になると、

「今日はスコアを上げたい」

「早く眠らなければ」

と睡眠そのものを意識する。

しかし、本来は自然に訪れるはずの睡眠を「成功させなければならないもの」として捉えるほど、眠ることへのプレッシャーにつながる場合があります。

スマートウォッチは「睡眠を直接見ている」わけではない

ここで知っておきたいのが、一般的なスマートウォッチと、医療機関で行われる睡眠検査は同じではないということです。

医療機関で行われる睡眠検査では、脳波や眼球運動、筋活動など複数の生理情報から睡眠状態を評価します。

一方、多くのウェアラブル端末では、身体の動きや心拍などのデータから睡眠時間や睡眠ステージを推定しています。

技術は進歩していますが、表示された「深い睡眠○分」といった数字を、毎日の睡眠状態を完全に表す絶対的な数値として考える必要はありません。

むしろ、一晩ごとの細かな上下に一喜一憂するより、長期的な傾向を見るための参考情報として活用するほうが付き合いやすいでしょう。

数字と同じくらい「自分の感覚」も大切に

睡眠を考えるときには、デバイスの数字だけではなく、

朝すっきり起きられたか。
日中に強い眠気がないか。
集中して仕事ができているか。
身体の疲れが残っていないか。

といった、自分自身の感覚にも目を向けてみましょう。

もちろん、睡眠データを記録すること自体が悪いわけではありません。

「夜更かしした日は睡眠時間が短い」

「飲酒した日はいつもと違う」

など、自分の生活習慣を客観的に振り返るきっかけにもなります。

大切なのは、データを自分の睡眠を理解するために使うのか、それともデータに自分の睡眠を評価されるようになってしまうのかという違いです。

睡眠は「毎晩100点」を目指すものではない

La HEADでは、完全個室の落ち着いた空間でスマートフォンなどの日常の情報から離れ、目を閉じて、頭だけでなく首・肩・腕までゆっくりとケアしています。

健康を意識することは大切です。

しかし、睡眠時間、歩数、心拍数、消費カロリーなど、私たちの身体が次々と数値化される時代だからこそ、数字だけでは表せない自分自身の感覚も忘れたくないものです。

睡眠は、毎晩100点を取らなければならないテストではありません。

よく眠れたと感じた朝は、まずその感覚を大切にする。

データは「答え」ではなく、自分の生活を振り返るための一つの材料として見る。

そして、ときには時計やスマートフォンから離れて、「良い睡眠を取らなければ」と考えること自体から休む時間をつくる。

スマートウォッチが身近になった今だからこそ、数字に追われるのではなく、上手に利用しながら自分自身の身体の感覚にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

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