
駅まで歩きながらLINEを返信する。
地図を確認しながら移動する。
信号待ちから、そのままSNSを見ながら歩き出す。
今では珍しくない「ながらスマホ」ですが、このとき私たちは、「歩く」と「スマホの情報を処理する」という2つのことを同時に行っています。
普段はほとんど意識せずに歩いているため、「スマホを見るくらい簡単」と感じるかもしれません。
しかし研究では、2つの課題を同時に行う「デュアルタスク(二重課題)」という視点から、歩行中のスマートフォン利用が研究されています。
「歩く」だけでも脳は働いている
歩くことは自動的な動作に感じますが、実際には単純ではありません。
進む方向を確認する。
人や障害物を避ける。
信号や車を確認する。
身体のバランスを保つ。
周囲の変化に合わせて速度を調整する。
こうした処理を行いながら、私たちは歩いています。
そこへスマートフォンが加われば、
メッセージを読む。
文章を考える。
文字を入力する。
画面から必要な情報を探す。
といった別の処理も必要になります。
つまり、歩きながらスマホを使っているときは、限られた注意を複数の対象へ振り分けていると考えられます。
22研究を分析すると「歩き方」まで変わっていた
2023年には、歩行中のスマートフォン利用について22研究・592人を分析したメタ解析が発表されています。
その結果、スマートフォンを使用しながら歩くと、通常の歩行と比べて、歩行速度が遅くなる、歩幅が短くなる、両足が地面についている時間が長くなるなどの変化が報告されました。
さらに興味深いのが、スマートフォンで「何をしているか」によっても影響が異なることです。
ただ画面を見るだけではなく、文章を読んだり文字を入力したりするなど、より多くの注意を必要とする操作ほど、歩行への影響が大きくなる傾向がみられています。
普段何気なく行っている「ながらスマホ」でも、身体はその状況に合わせて歩き方を変えている可能性があるのです。
2025年の研究でも「デュアルタスク」に注目
2025年には、119人を対象として、歩きながらスマートフォンで文字入力を行う状況を調べた研究も報告されています。
ここでもポイントになるのが、注意資源の分散です。
私たちの注意には限界があるため、複数のことを同時に行えば、それぞれに使える注意が変化します。
「歩くことは無意識だから、スマホに集中しても問題ない」とは限りません。
脳にとっては、
歩く + 周囲を見る + 文章を読む + 内容を考える + 文字を入力する
と、いくつもの処理を同時に求められている可能性があります。
仕事でも増えている「ながら作業」
これは、歩きスマホだけの話ではありません。
パソコンで資料を作りながらチャットを確認する。
オンライン会議をしながらメールを返信する。
移動しながら仕事の連絡をする。
テレビを見ながらSNSを見る。
現代では、一つのことだけをしている時間のほうが少ないという方もいるのではないでしょうか。
効率よく時間を使っているようでも、実際には複数の対象へ注意を振り分けたり、次々と注意を切り替えたりしています。
もちろん、今回の研究から「ながらスマホによって脳疲労が起こる」と直接断定することはできません。
それでも、私たちが日常的にどれだけ多くのことを同時に処理しているのかを考えるきっかけにはなります。
「一つのことだけをする時間」をつくる
仕事中はパソコン。
移動中にはスマートフォン。
休憩中にはSNS。
私たちは一日を通して、絶えず何かに注意を向けています。
だからこそ、ときには、
歩くときはスマートフォンをしまう。
食事中は画面を見ない。
休憩するときは何かを見ながらではなく、ただ休む。
そんな「一つのことだけをする時間」を意識的につくってみてもよいでしょう。
La HEADでは、完全個室の落ち着いた空間でスマートフォンから離れ、目を閉じ、頭だけでなく首・肩・腕までゆっくりとケアしています。
何かをしながら、次のことをする。
少しでも空いた時間があれば、別の情報を見る。
そんな過ごし方が当たり前になった時代だからこそ、「何もしない時間」や「一つのことだけに身を委ねる時間」にも価値があるのではないでしょうか。
忙しい毎日の中で、ときには頭に次の仕事をさせない時間をつくってみてください。


