
「少しだけ見るつもりだったのに、気づいたら30分経っていた」
Instagramのリール、TikTok、YouTube Shortsなどを見ていて、そんな経験はありませんか?
数十秒ほどの動画が次々と流れてくるショート動画は、ちょっとした休憩にもぴったりです。
ところが、身体は休んでいるはずなのに、見終わったあとに「なんとなく頭が疲れた」「集中しにくい」と感じることもあります。
近年、このショート動画の利用と認知的な疲労との関係が研究され始めています。
745人を調べた2025年の研究
2025年、心理学誌『Acta Psychologica』に、ショート動画の利用と認知機能との関係を調べた研究が発表されました。
対象となったのは、サウジアラビアのSNS利用者745人。
研究では、ショート動画を見る頻度や時間だけでなく、注意の難しさ、ワーキングメモリ、認知疲労などについて調査しています。
その結果、ショート動画を頻繁・長時間利用する傾向がある人ほど、
・注意を維持することの難しさ
・ワーキングメモリの乱れ
・認知的な疲労
を自覚する傾向が強いことが報告されました。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に頭の中に保持しながら処理する機能のこと。
会話の内容を覚えながら話を続けたり、数字を覚えながら計算したり、仕事の手順を考えたりするときにも使われています。
「何を見るか」より「止められない」がポイント?
この研究でもう一つ興味深いのが、「Scroll Immersion(スクロールへの没入)」という考え方です。
これは、
「この動画を見たいから見る」
という目的のある利用ではなく、
なんとなく次へ。
また次へ。
気づけば延々とスクロールしている。
というような状態です。
研究では、このスクロールへの没入が強い人ほど、注意の難しさ、ワーキングメモリの問題、認知疲労を自覚する傾向がみられました。
つまり、単純に「何分見たか」だけではなく、どのようにショート動画を使っているかも重要なのかもしれません。
数十秒ごとに変わる「情報」
ショート動画の特徴は、短時間でまったく異なる情報へ切り替わっていくことです。
料理を見ていたと思ったら、次は動物。
その次はニュース、旅行、美容、お笑い。
映像だけでなく、音楽、声、字幕、効果音なども次々と変化します。
私たちはそのたびに、新しく現れた情報へ注意を向け直します。
そのため、ソファに座って身体を動かしていなくても、頭には短時間で大量の新しい刺激が入っていると考えることができます。
「身体を動かしていない=頭も休んでいる」とは限らないのです。
休憩時間まで「情報」で埋め尽くさない
現代では、仕事でパソコンを使い、移動中にはスマートフォン。
休憩中にはSNSを見て、帰宅してから動画を見て、眠る直前までスマートフォンを触ることも珍しくありません。
一日のほとんどを、何らかの情報に触れながら過ごしていることになります。
だからこそ、頭が疲れていると感じたときは、
スマートフォンを置く。
目を閉じる。
窓の外をぼんやり眺める。
何もせず数分過ごす。
そんな「新しい情報を入れない時間」を意識してつくるのも一つです。
休憩時間に「何をするか」だけでなく、あえて「何もしない」という選択肢を持ってみてもよいでしょう。
情報から離れる時間をつくる
La HEADでは、完全個室の落ち着いた空間でスマートフォンから離れ、目を閉じて、頭だけでなく首・肩・腕までゆっくりとケアしています。
現代では、身体の疲れだけではなく、「情報を受け取り続けること」から離れる時間も少なくなっています。
仕事が終わったあと、頭が疲れていると感じたら、ショート動画をもう一本見る前にスマートフォンを置いてみる。
たった数分でも、情報を入れ続ける時間と、何も入れない時間にメリハリをつけてみてはいかがでしょうか。
なお、今回紹介した2025年の研究は、自己申告による横断研究です。そのため、「ショート動画を見ることが認知疲労や注意力低下を引き起こす」と因果関係を証明したものではありません。
もともと集中しにくい人ほどショート動画を長く利用する可能性なども考えられるため、今後さらに客観的な認知機能検査や長期的な研究が必要です。
それでも、休憩のつもりでスマートフォンを見続けている方にとって、「自分は本当に休めているだろうか?」と考えてみるきっかけになる研究ではないでしょうか。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。


