
「睡眠のためには、シャワーだけで済ませず湯船に浸かった方がいい」
昔からよく聞く話ですが、実際に入浴と睡眠にはどのような関係があるのでしょうか。
2026年8月、上海体育大学などの研究チームが、温かいお湯に身体を浸すことと睡眠について調べたランダム化比較試験10件をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析を発表しました。
その結果、温水浴には総睡眠時間や睡眠効率を改善する可能性が示されています。
2026年の研究でわかった「入浴と睡眠」
今回の研究では、健康な成人を対象とした10件のランダム化比較試験が分析されました。
温かいお湯に身体を浸す「温水浸漬」を行った場合、
・総睡眠時間が増加
・睡眠効率が改善
する傾向が確認されました。
睡眠効率とは、ベッドに入っていた時間のうち、実際に眠っていた時間の割合です。
たとえば8時間ベッドにいても、途中で何度も目が覚めていれば睡眠効率は低くなります。
今回の結果からは、入浴によって単純に「長く寝る」だけではなく、ベッドにいる時間をより睡眠に使える可能性が示されたことになります。
一方で、寝つくまでの時間や、本人が感じる「睡眠の質」については、明確な改善が確認されなかった項目もありました。
つまり、
「湯船に入れば必ずぐっすり眠れる」
と断言できる研究ではありません。
なぜお風呂に入ると眠りやすくなるの?
睡眠と入浴を考えるうえで重要なのが、体温の変化です。
私たちの身体は、夜になると身体の内部の温度である「深部体温」が徐々に低下していきます。
この体温低下は、眠りに入る準備のひとつです。
温かいお湯に浸かると、まず身体が温まり、手足など末梢の血流が増えます。
その後、お風呂から上がると身体の熱が外へ逃げやすくなり、深部体温が低下していきます。
この「一度温めてから、熱を逃がす」という流れが、自然な睡眠への移行を助けている可能性が考えられています。
そのため、寝る直前に身体を強く温めるというより、少し時間を空けてから眠ることがポイントになります。
お風呂に入るなら「寝る1~2時間前」が目安
入浴と睡眠については、2026年以前にも複数の研究が行われています。
2019年に米国テキサス大学などの研究チームが行ったシステマティックレビューでは、40~42.5℃程度のお湯を、就寝1~2時間前に利用することで、寝つきや睡眠効率が改善する可能性が報告されました。
さらに、長時間入る必要はなく、研究では10分程度以上の入浴やシャワーでも効果が確認されたケースがあります。
つまり、睡眠を目的にするなら、
「熱いお風呂に長時間入る」よりも、適度な温度で身体を温め、寝るまでに体温が下がる時間をつくる
ことの方が重要と考えられます。
ただし、42℃を超えるような熱いお風呂は身体への負担も大きくなります。
のぼせや脱水を避けるためにも、無理に温度を上げたり長時間入浴したりする必要はありません。
「シャワーより湯船が絶対いい」とはまだ言えない
ここは今回の研究を読むうえで大切なポイントです。
2026年の研究は、主に温かいお湯に身体を浸す温水浴について検討したものです。
そのため、この研究だけから、
「シャワーより湯船の方が睡眠に優れている」
と結論づけることはできません。
過去の研究では温かいシャワーでも睡眠への好影響が報告されています。
重要なのは「湯船かシャワーか」という二択よりも、
身体を適度に温めること
→その後に熱を逃がす時間をつくること
→睡眠に入りやすい環境を整えること
と考えた方がよさそうです。
もちろん、湯船にゆっくり浸かることで「一日の活動を終える時間」がつくられることも、生活習慣としては大きなメリットでしょう。
睡眠は「布団に入ってから」だけで決まらない
睡眠の質を考えるとき、つい寝具や睡眠時間ばかりに目が向きます。
しかし、実際には眠る前の1~2時間をどう過ごしているかも大切です。
夜遅くまで仕事をする、スマートフォンを見続ける、明るい部屋で過ごす。
そうした状態から突然ベッドに入るより、
入浴する
照明を少し落とす
スマートフォンから離れる
身体をゆっくり休ませる
という流れをつくることで、睡眠に向かう準備をしやすくなります。
最近シャワーだけで済ませることが多い方は、まずは就寝1~2時間前に、無理のない温度でゆっくり湯船に浸かるところから試してみてもいいかもしれません。
La HEADでも、頭だけではなく首や肩まで丁寧にケアし、日中の緊張から離れてゆっくり過ごせる時間を大切にしています。
睡眠を整えたいときは、「何時間眠ったか」だけではなく、眠る前の身体と頭をどう休ませるかにも目を向けてみてください。


