
睡眠を整えたいと思ったとき、
「寝る前はスマートフォンを見ない」
「夜はカフェインを控える」
「お風呂にゆっくり入る」
など、生活習慣を意識する方は多いと思います。
もちろん、こうした習慣も大切です。
しかし、もう一つ見直したいのが、毎晩何時間も身体を預けている「寝具」です。
マットレスは硬い方がいいのか、柔らかい方がいいのか。枕は高い方がいいのか、低い方がいいのか。
実は寝具についてもさまざまな研究が行われており、単純に「硬い方が身体に良い」「高価なものほどよく眠れる」とはいえないことが分かってきています。
47の研究から調べた「マットレスと睡眠」
2026年に発表されたシステマティックレビューでは、1999~2023年に発表された47の研究を対象に、マットレスの特性と睡眠や身体への影響が検討されました。
調べられたのは、睡眠の質だけではありません。
身体にかかる圧力や背骨の状態、腰部への影響など、複数の視点からマットレスが評価されています。
その中で比較的支持されていたのが、
「中程度の硬さ(medium-firm)」
のマットレスでした。
つまり、極端に硬ければ硬いほど良いわけでも、身体が大きく沈み込むほど柔らかければ良いわけでもないということです。
「腰には硬いマットレス」が正解とは限らない
「腰が気になるなら硬い布団やマットレスの方がいい」
そんな話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、有名な研究では少し違った結果が出ています。
医学誌『The Lancet』に掲載されたランダム化比較試験では、慢性的な非特異的腰痛を持つ313人を対象に、硬いマットレスと中程度の硬さのマットレスを比較しました。
その結果、中程度の硬さのマットレスを使用したグループでは、ベッド上での痛みや起床時の痛み、身体機能などで、硬いマットレスより良い結果がみられました。
「腰にはとにかく硬いもの」という考え方は、必ずしも正解ではないのです。
寝返りも考えて寝具を選ぶ
私たちは一晩中、同じ姿勢で眠っているわけではありません。
睡眠中には何度も寝返りをしています。
そのため寝具には、身体を支えることだけでなく、身体の一部に負担が集中しすぎず、自然に姿勢を変えられることも求められます。
柔らかすぎて身体が深く沈み込めば、姿勢を変えにくく感じる場合があります。
反対に硬すぎれば、肩や腰など特定の部分に圧力を感じる人もいます。
だからこそ、マットレス選びでは「硬い・柔らかい」だけで判断するのではなく、自分の体格や普段の寝姿勢との相性を見ることが大切です。
枕は「高さ」も大切
そして、マットレスと同じくらい身近なのが枕です。
枕についても研究が行われており、システマティックレビューでは、枕の高さや形状によって頸椎のアライメントが変化する可能性が報告されています。
ここでも大切なのは、「この高さなら全員に合う」という基準ではありません。
仰向けで眠ることが多いのか、横向きが多いのか。
肩幅や体格はどうなのか。
そして、どの程度身体がマットレスへ沈み込むのか。
枕だけを見るのではなく、身体・枕・マットレスをセットで考える必要があります。
高価な寝具=良い睡眠ではない
寝具には数千円のものから、数十万円以上するものまであります。
もちろん素材や構造、耐久性などには違いがありますが、睡眠という視点で考えるなら、
「高価だから自分にも合う」とは限りません。
大切なのは、自分の身体に合っているかどうか。
体格や寝姿勢、好みなどによっても、心地よく感じる寝具は変わります。
口コミで高評価だから。
有名人が使っているから。
高級ホテルで採用されているから。
それだけで決めるのではなく、可能であれば実際に横になり、身体の沈み込みや寝返りのしやすさ、枕との相性まで確認することが大切です。
毎日使うものだからこそ、一度見直してみる
仮に毎日7時間眠るとすると、私たちは1日の約3割を寝具の上で過ごすことになります。
そう考えると、マットレスや枕は単なる家具ではなく、毎日の睡眠環境をつくる大切な要素のひとつです。
睡眠を良くしたいと考えると、新しい習慣や睡眠グッズを「足す」ことに目が向きがちです。
でも、その前に一度、
「今使っている寝具は、本当に自分の身体に合っているだろうか?」
と考えてみるのもいいかもしれません。
朝起きたときに身体の一部が気になる。
寝返りがしにくい。
枕の高さがしっくりこない。
長年同じマットレスを使い続けている。
そんな方は、毎日使っている寝具を見直すことも、睡眠環境を整える一つの方法です。
La HEADでは今後も、睡眠や休息について、研究をもとに日常生活で取り入れやすい情報をご紹介していきます。


